はるぱり・そんぐす🎈

東京パリカのブンガク恋慕 はるぱり XII? 

大家さんの庭(3)

大家さんの庭には、大きな銀杏の木がある。わたしの部屋には庭に向かう窓があるから、そこを開け放てば庭が綺麗にみえるけれど、擦り硝子の古い窓を開けることはほとんどない。わたしが銀杏の木を見るのは、大家さんの家の壁に面した方の窓を開けて、壁までの狭いスペースに洗濯物を干すときに、ちょっと顔を出して右上の空をのぞもうとする秋のあかるい時間だけだ。秋のあかるい時間だけだ、と断言してみると、じっさいはそうでもないことに気づく。つい先日も、青々とした銀杏の葉っぱが、右上の空を見上げたら、空のかわりに視界をうめたばかりだった。