はるぱり・そんぐす🎈

東京パリカのブンガク恋慕 はるぱり XII? 

大家さんの庭(2)

大家さんは犬と暮らしている。まえの犬が死んで飼いかえても、名前はかえなかったようだ。家賃を払いにいくときに、玄関に並ぶ犬の写真たてにはりつけられたシールにある色あせた文字からわかった。
まえの犬はいまとはちがう、柴犬だったようで、庭には犬小屋がある。日に焼けきって干からびてみえるブルーの屋根のしたにある入口は、閉じられていて、あるときふと気づいたのだが、そのさびしげな扉には、黒いマジックで書かれた「空き家」の文字がある。ぐるりと丸く囲む線もその三文字も、色あせて、見るとなんともさびしいのに、微笑をさそうところがある。