はるぱり・そんぐす🎈

東京パリカのブンガク恋慕 はるぱり XII? 

なんだか

今朝電車で席をゆずったばあさんが

おりる間際に

わたしのコートのポケットにものをかってにすべりこませて

いいからとっておいてと言う

 

気づいたらもうわたしのポケットにかのじょの手が入っていた

おどろいたし 年長者にいう言葉ではないけれど 

とっさに ぶしつけだとおもった

 

 

なんともいえない強引さだ

 

ブローチだという

 

大きなポケットからさぐりだして

それをとりだし 妙な手ざわりのそれの形をみもせずに

軽くそのブローチを握ったままばあさんの方へ手をさしだして

 

いや やめてくださいよ 席をゆずっただけなんですから

 

苦笑で笑いが声にでた わたしはほほえんでいたとおもう

 

 

けっきょく これ以上ことわるのも 

とおもわされる その感じにながされて

ことわるのを あきらめた

 

 

 

ブローチだという

 

 

 

 

いい話にきこえる?

 

 

 

 

自分はとてもつかいそうにない

大ぶりの安っぽいブローチ

 

だれがつかうのかわからないようなブローチ

と言ったらひどいと言われるかもしれない

 

 

 

 

だけどな

 

 

わたしはそういうの

やっぱりニガテなんだ

 

今もポケットに入ったまま出してもいない

 

 

わたしはそういうところがある

なにかそういった種類の不意の闖入がこわいのかもしれない

 

 

わたしにはそういうところがあるんだ

 

 

なんだかわるいことをしたみたいで

だけどポケットのなかにあるブローチをおもうと

こわくなってそわそわする

 

わたしにはそういうところがある

 

そういうこわがりなところがあるんだ

 

 

 

はげしく降っている夜の雨の音をきいていたら

 

自分がそんなふうに つまり今ここにかいたように

おもっていたんだということに 気づいた