読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

はるぱり・そんぐす🎈

東京パリカのブンガク恋慕 はるぱり XII? 

ちょっとした出来事

行こうとおもってから数ヶ月はたったようなきもする。

アレルギーなどのくすりの処方箋をだしてもらうために、ようやく病院へ行った。

 

帰りに病院からすぐちかくの薬局に寄った。

くすりを受けとって会計をすませつつ、わたしは薬剤師さんにちょっとした質問をした。

薬剤師さんは、ちょっとした質問にとてもていねいに、朗らかに答えてくれたので、それはきもちがあかるくなるほどだった。若い男性の薬剤師さんだった。

 

小銭を受けとり、お昼時だしとパン屋に寄って、部屋へ戻った。

 

きょうはあまりねむくないかもしれない、と帰宅してからおもった。すこし日光を浴びたからかな。さいきんは、どうしようもなくねむけがおそってきて、夕方までなかなか目が覚めない。起きているのに、ねむたがっている時間がずいぶんながい。すこしこまっていた。

 

きょうはあまりねむくないかもしれない。そうはおもったけれど、夕方になるまえにはねむたくなった。

 

スマートフォンに電話の着信があった。気がついたのは、ねむたくなってきた夕方まえのこと。

わたしはすこし電話恐怖症のようなところがあるから、着信はなにか事情でもないかぎりつねに無音にしてあって気づきにくい。そして、気がついても、非通知のものはだいたいのところは出られない。非通知でなくてさえ、反射的に、つまり身体的な反応として、電話に出られないことがあるくらいだ。そうはいっても、それほどにはこまらない。わたしに電話をかけてくるひとはごくごく少数だし、そもそも電話がかかってくることがほとんどない。電話で話すのがいやなのではない。電話ですきなひとと話すのはむしろすきなほうだ。すきなひとがかけてきてくれたら、むしろうれしいはずだ。問題は、電話に出ることなのだとおもう。緊張感がはしる。今ではすっかり、非通知のものは Safari ですぐに検索するくせがついてしまった。

 

検索した。

 

電話の発信元は、きょう行った薬局だった。

電話がかかってきた理由について、こころあたりがぽわりとうかびはしたのだが、あまりかんがえなかった。それはねむかったからかもしれないし、のんきな理由だと直観したのかもしれない。

 

ちかくに用事があったので、ちょうど都合よく営業時間に寄ることができた。

 

薬剤師さんは、昼間の時とおなじひとが二人いて、奥から、わたしの対応をした男性の薬剤師さんが朗らかに出てきた。

 

わたしのちょっとした質問にこたえているうちに、「うっかりおつりを返し忘れたようなのです、レジのお金がちょうど千円あまってしまって」

ねむくなりながらぽわりとうかんだこころあたりとそれは、ふわりと一致した。

 

やっぱりそうでしたか。そうかなぁという気がしていて。ぼんやりしていて。わざわざありがとうございました。いや、ちょうど、偶然ちかくで用事があって。寄るのにすごくちょうどよかったんです。わざわざ、ほんとに、ありがとうございました。

 

千円札をぴらりとうけとった。

 

千円札はきれいで、「ピン札」という言い方があったのをおもいだしたくらいピンとしていた。受けとると、お札は手元からお財布にぴたりと吸いつくようにくっついた。お財布にお札を入れるまえに、両手でお財布とお札を重ねてはさんだまま、もういちど挨拶をして薬局を出た。

 

これが、きょうわたしに起こったちょっとした出来事。